【完】武藤くんって甘くない
汚れた部分をササッと拭き取り、再びトイレから出る。



武藤くんはまださっきの場所にいた。



よかった…もう、いないかと思ったんだよ?



なんて声をかけようかと考えながら近づくと、武藤くんから話しかけてきた。



「もう平気?」



「うん…もう、泣かないから安心して」



「そか。じゃ、行くな」



立ち去ろうとするから、慌てて引き止める。



「やっぱり…昨日のメガネくんだよね…?もしそうだとしたら、どうしてとぼけるの」



答えを待つ間、だんだんドキドキしてきた。



すると武藤くんは少し困ったような顔で笑った。



「うやむやにできるかなーって思って」



うやむや?



「どうして!?って、やっぱりメガネくんなんだ!武藤くんがメガネくんだったなんて…」



「メガネメガネって、うっせーよ」



今度はクスッと笑うとあたしの肩を小突いてくる。



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