すべては、
「いいえ、僕がただでは済ませませんよ。僕は貴女を手に入れます。」



「そんなこと絶対ならないわ!和也さんにー」



「主任に言いますか?他の人の手でー」



木下さんはそれ以上は言わずにこりと笑った。



「そんなこと出来ませんよね?結婚生活はすぐに終わりです。まぁ、僕にとってはその方が有り難いですけど。」



「あなた…どうかしてるわ…」



近付いてくる木下さんにまた何かされるのではないかという恐怖に私は自分をぎゅっと強く抱き締めた。


頬に触れる冷たい手…


親指が遊ぶように唇を触る。


ニコリと笑う無邪気な子供のような笑みは、出会った時とは全く違う印象で…邪悪な笑みに見えた。


「僕をそうさせたのは貴女ですよ、実里さん。必ず貴女を手に入れます。」






こんなことになるなんて…

助けて…





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