すべては、
そんなはずない…


「本当にそうだと思いますか!」


私は西部さんに詰め寄った。


「実里さん、落ち着いて。警察も根拠もなくそんなこと言わないわ。
それに…もし事故じゃなかったとしても今私達にはどうすることも出来ないし。第一証拠がないもの…」


それはそうだけれど…


「私、上に連絡してくるわ。実里さんも一度家に帰って休んだ方が良いわよ。」


それじゃあと西部さんは行ってしまった。


西部さんの言う通り証拠はない。

けれど、これは事故じゃない…

絶対そう!

絶対あの人が何かしたのよ!

まさかこんなことになるなんて…

私、どうしたら…

ああ、だめ!弱気になったらあの人に漬け込まれる!

旦那がいない今、必ず私に接触してくるはずだもの。





『何かあったら連絡しろよ』



東さんの言葉が頭を過る。

東さん…

連絡してしまいたいけど…我慢しないと…







西部さんの言う通り、休むために一度家に帰ることにした。

和也さんのいなくなった広い家に私一人、ソファーに力の抜けた体を横たえていた。


そこに来訪を伝えるチャイムが鳴る。




まさか…


あの人が…


恐る恐るインターフォンの画面を見れば、今会いたいあの人が映っていた。


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