すべては、
私の体を捕まえる手の中からカチッと音がしたと思うと同時に、ガシャンと大きな音が響きそちらに目をやると…

直ぐ横で、頭上のスポットライトがあるものを照らし出していた。

天井から吊るされた二本の鎖…

その先には輪になったベルト…



体がガタガタと震えた。

これからあれに繋がれ、何をされるのかは分からない。

だけど、私の体を震わせるには、想像出来ないということだけで十分だった。


「こんなに震えて…可愛いですね。
大丈夫ですよ、貴女を殺したりはしませんから。」


殺す…


「お仕置きは…受けますから、教えて下さい…」


声が自ずと震える。


「貴女からの質問なら、包み隠さず何でも答えますよ。」


「和也さんを事故に見せかけて殺したのは、貴方ですね…」


木下さんは面白そうに小さく笑った。


「そうですよ。僕達を邪魔する者は全員いなくなればいいんです。」


「あなた…ずっとそうやって邪魔な人達を殺してきたんですか…」


「ええ、そうです。
僕はこれまでずっと運命の人を探してきました。
貴女に巡り会うまでの長い間…
この人こそ運命の人だと思い、邪魔する者を殺し、手に入れ…
そして気付くんです。
僕の求めていた人でないことに。
例外なく、その彼女達全員が僕の運命の人ではなかった。
気付いたときの絶望感といったら…
そんなことを幾度となく繰り返してきたんです。
でも、気付いたことに感謝しなければ。そうでなければ、運命の人にこうして出会えなかったんですから。」


ただの世間話でもするかのように紡がれる言葉は、彼の異常さをより浮き彫りにしていた。


なんて人なの…

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