すべては、
「その、女の人達も殺したの…」


「勿論ですよ。僕が貴女に会うためには、邪魔な障害物でしかないんですから。」


「美玲も…」


「美玲?」


私が言っているのが誰のことか木下さんは分からなかったようだが、直ぐに「ああ。」と何かを思い出したように呟いた。


「隣町に住んでいた川北美玲ですか。実里さんの知り合いだったんですね。」


「親友だった…」


「そうでしたか。でも悲しむことはないですよ。彼女は酷い人でした。

僕にご主人を殺すようそそのかしたんです。
その時はまだ彼女のことを運命の人だと思っていたので彼女の言う通り殺しました。遅かれ早かれご主人は殺すつもりでいましたしね。

殺した後、彼女は笑って僕に抱きついたんです。その時、手に入れたはずの彼女に嫌悪感が芽生えた。
そう、僕の運命の人が誰かの死を歓ぶはずがないんです。貴女のようにね。」


「酷い…」


「これは必要なことだったんです。貴女に出会うために。そう…」


彼は、私の耳に唇を近づけ囁く。












「すべては、貴女を手に入れるために。」














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