すべては、
この人は狂っている…

自分の欲しいもののためならどんなことでもする…

殺人でさえ厭わないなんて…



「さあ、お喋りはこのくらいにしましょう。
お仕置きの時間です。」



鎖に繋ごうと木下さんの腕が緩んだ一瞬を、私は見逃さなかった。

私は彼の腕を振り払い走った。



「鬼ごっこですか?どこへ行こうと逃げられませんよ。」



彼の言う通りどこへも逃げ場なんてない。
この首の発信器がある限り。
彼はどこまでも追ってくる。

でも、逃げなければ…

私は直ぐに建物の端へとたどり着いてしまう。
壁には大きなトラックが一台余裕で通れそうなくらいの大きさのシャッターがあるだけ。



もう、ここまでなの?



「さあ、行き止まりですね。もう諦めて下さい。僕の…僕だけの愛しい人。」

















「実里はお前の女じゃない。」

















その声は私の直ぐ後ろから聞こえた。


この声…



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