すべては、
「是非お願いします!」


こうして先輩に開けてもらうことになったのだが…


「お前の耳、柔らかいな…」



さわさわと耳朶を触られ、なんとも言えない感覚が体に広がっていく。



「先輩…くすぐったいです…」


「ああ、悪い。じゃあ開けるぞ。」



デスクに置いた携帯用の鏡越しに、先輩が持つピアッサーが耳朶を挟んだのが見えた。

先輩の手に力がこもり、鋭いポストがキラリと光る。



「ああー!やっぱり待って!」


私の悲痛な声で、先輩の手が止まる。


「めっちゃ光ってる!絶対痛いですよね!」


「そりゃ痛いに決まってるだろ。」


「先輩…せめて痛くないように優しく入れて下さい。」

「こういうのは一気に入れちまった方がいいんだよ。」


「一気って!そっちの方が怖いんですけど。あの…どのぐらい痛いんですか?」



おどおどしながら聞くと、先輩は溜め息を吐いた。



「痛みなんて人それぞれだろ。まあ、そのうち慣れる。」


「慣れるっていっても、結構かかりますよね?」


「お前な…俺も暇じゃないだ。いい加減にしろよ。無理矢理入れるぞ。」


イライラしだした先輩の手に握られるピアッサーが、今にも私の耳に穴を開けそうだ。



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