腹黒上司が実は激甘だった件について。
奈穂子の言葉が頭を離れなくて、坪内さんの説明をぼんやり聞いてしまう。
このイケメン王子様が私に興味とか?
ないない。
今だって睨みを利かせながら私に指示を出してきているのよ。
資料だって何回差し戻されたかわからない。
課長と違ってめちゃくちゃ厳しいんだから。

「聞いてんのか?俺に見とれてんじゃねーよ。」
「はぁ?見とれてません!早く続きを説明してください。」

思わず赤くなった頬を両手で押さえる。
それを見て、坪内さんは楽しそうに微笑んだ。

もう、奈穂子が変なこと言うから。
意識しちゃうじゃん。
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