腹黒上司が実は激甘だった件について。
今日は何が食べたいか聞いてくれない。
スタスタ歩く坪内さんの後ろを、とりあえず付いていく。
せっかく断ったのに、結局一緒にランチに来てしまった。
何でこうなるんだ。
課長のせいだ。

「今日は中華だな。」
「…何でもいいです。」

普通に話しかけてくるので、ちょっとばかし身構えていた私は拍子抜けしてしまった。

初めて入る中華料理店。
坪内さんは慣れた感じで、日替わり定食を2つ注文した。
日替わり定食がお得で美味しいそうだ。
運ばれてきたトレーの上には、お皿が何枚も所狭しと並んでいる。
天津飯にエビチリに玉子スープ。
サラダに焼きそばに和え物。
どれもミニサイズだけど、ボリュームがすごい。
これで850円ってお得すぎる。

感心していると坪内さんは王子様スマイルで私を見てくる。
その笑顔、本当に眩しいんです。
かっこいいし優しいし、魔法にかけられてしまいそうだから困る。

「私を好きとか気の迷いですよ。」

エビチリを頬張りながら冷たく言ってみる。
坪内さんは「人の気持ちにケチつけんな」と、私に劣らず冷たく言い放ってから、じっと私を見据えた。

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