腹黒上司が実は激甘だった件について。
意味がわからない顔をしている私に、坪内さんは思い出すように言う。
「前の彼氏に失恋したときに泣いてただろ。」
「なっななな、何でそれをっ!」
元彼に浮気されて捨てられたことを知っているのは、奈穂子と課長だけのハズなのに。
しかも二人の前でも泣いていないのに、どこで見たと言うんだ。
「泣きながら月を見上げてる姿に、惚れた。」
そ、それは会社からの帰り道ですね。
会社から出たとたん、堰を切ったように流れ落ちた涙。
誰にも見られていないと思ったのに。
「…どうして失恋したって知ってるんですか。」
「涙の訳が知りたくて、課長を問い詰めたらこっそり教えてくれた。」
か、課長~。
余計なことを言わないでよ。
いや、違うな。
きっと坪内さんが脅しをかけるような聞き方をしたんだろう。
そうに違いない。
「だからって…。」
「うん、だから、そこから気になるようになった。きっかけはそれってだけだ。」
人を好きになるってそうなんだよね。
ふとしたきっかけがあって、そこから意識し出すもの。
坪内さんの言うことはすごく理解できた。
だけど、私だよ。
チビだし何の取り柄もないし、可愛げもないし、データベースも扱えないし。
知れば知るほど幻滅要素しか見つからないじゃん。
「前の彼氏に失恋したときに泣いてただろ。」
「なっななな、何でそれをっ!」
元彼に浮気されて捨てられたことを知っているのは、奈穂子と課長だけのハズなのに。
しかも二人の前でも泣いていないのに、どこで見たと言うんだ。
「泣きながら月を見上げてる姿に、惚れた。」
そ、それは会社からの帰り道ですね。
会社から出たとたん、堰を切ったように流れ落ちた涙。
誰にも見られていないと思ったのに。
「…どうして失恋したって知ってるんですか。」
「涙の訳が知りたくて、課長を問い詰めたらこっそり教えてくれた。」
か、課長~。
余計なことを言わないでよ。
いや、違うな。
きっと坪内さんが脅しをかけるような聞き方をしたんだろう。
そうに違いない。
「だからって…。」
「うん、だから、そこから気になるようになった。きっかけはそれってだけだ。」
人を好きになるってそうなんだよね。
ふとしたきっかけがあって、そこから意識し出すもの。
坪内さんの言うことはすごく理解できた。
だけど、私だよ。
チビだし何の取り柄もないし、可愛げもないし、データベースも扱えないし。
知れば知るほど幻滅要素しか見つからないじゃん。