腹黒上司が実は激甘だった件について。
「私は、坪内さんの期待に応えられないですよ。」

俯き加減で呟くと、彼は王子様スマイルで言う。

「期待なんてしてない。こうやって傍にいてくれるだけで俺は幸せだ。」

そんな…私の気持ちは無視じゃないか。
だけど、全然嫌な気持ちにはならなかった。
もう、これ以上この話を続けるのは精神的に無理だ。
恥ずかしすぎて身体中の血液が沸騰しそう。

私は食べ終わった食器を流しに持って行きながら、早口で言う。

「ああ、もうっ、早くお風呂入ってくださいっ。」
「ダメだ。秋山が先。」

今日も譲らない。
押し問答の末、結局私が先に入ることになった。
昨日あまりにも早くお風呂から出たもんだから、今日はお湯を張ってくれる。

「また俺が髪の毛乾かしてやるよ。」
「だから、自分でできますって。」

ていうか、泊まる気ないって言ったのに。
なぜこうなるの。
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