腹黒上司が実は激甘だった件について。
俺のこと惚れ直しただろ?
いつの間にか寝てしまっていたらしい。
どれくらい寝たんだろう?
枕元にポカリが置かれている。
ボーッとする頭でポカリを飲んでいると、扉が開いて坪内さんが入ってきた。

「ちょっとは寝れたか?」

そう言って、私のおでこに大きな手をあててくる。

「まだ熱いな。」

言いながら、私の体をゆっくりと寝かす。
おもむろに目の上に濡れタオルが置かれた。

えっと、おでこじゃなくて?
と思ったけど、

「ちゃんと目、冷やしとけよ。」

と笑いを含んだ優しい声が聞こえた。

そうだった、さっき泣いたんだった。
ていうか、泣いたのバレてますね。
あー、やっちまったわ。
私ったら。

だけど坪内さんはそれ以上何も言わない。

「迷惑かけてごめんなさい。」

目の上にタオルをのせたまま、私は言う。
坪内さんがどんな顔をしているのか、見るのが怖くてタオルの端をぎゅっと握った。
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