腹黒上司が実は激甘だった件について。
目を覚ますとスッキリしている。
あ、また寝てたんだ。

枕元の時計を見ると、針は14時を過ぎたところを指していた。

お腹すいたな。
リビングへ行くとソファーで坪内さんが転がっている。
寝ているのかなと思い覗きこむと、うっすらと目が開いて腕を捕まれて抱き寄せられた。

坪内さんの上にのし掛かる感じになって慌てて起き上がろうとする。
だけど腕の力が強くてほどけない。

「つ、坪内さん~また寝ぼけてるんですか?」

坪内さんの胸からかろうじて顔だけ上げたけど、お構い無しな坪内さんは更に強く抱きしめる。

「寝ぼけてないよ。秋山の熱を計ってるだけ。」

そう言いながら、右手は私の腰に回したまま、左手でおでこを触ったり首筋を触ったりして体温を確かめる。
坪内さんの大きくて少しひんやりした手が私の肌に触れるたび、ぞわぞわと熱を帯びていくようだ。

「熱、下がったっぽいな。よかった。」

本当に安心した声で言うから、胸がきゅんとなる。
いや、それよりも、触れられて熱が上がってしまうのではないかと内心ひやひやしていたよ。

そして、確認が終わったなら私を解放してください。
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