腹黒上司が実は激甘だった件について。
「はぁ~。」

また溜め息が出てしまう。
もう一層のこと、派遣社員を雇うのを止めようか。
業務を少し分担して坪内くんの負担を減らすか。
頭を抱えていると、タイミングよく坪内くんが俺の前に来た。

「課長、秋山のこと引き留めたんだ?結局何だったの?」

そういえば、何かわかったら教えてと言われていたんだった。
でも事細かに伝えるのもなぁと思い、「失恋かな?」と微妙なニュアンスで答えた。

ふうん、と坪内くんは考えるような仕草をしてから、とんでもないことを言い出した。

「派遣はもういらないから、秋山を俺の下につけてほしい。」

待った待った。
なぜそうなる?

「秋山さんは俺の補佐だよ。優秀だから離したくないな。それに彼女は今回のことが少しトラウマになってる。俺が課長でいる間は守ってあげたいんだよ。」
「課長は大好きな奥さんがいるからいいだろ。俺は秋山を俺のものにしたい。」

おい、問題児。
今度は公私混同かよ。
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