【五・詩】beforeぽえむ

《金／97.09.16.》

壱
宅地に群がる雑木林
りりりりり～ん
羽根をあわす虫のささやきが響く
古びた街灯の下(moto)に

弐
朝、涼やかなくもり空下の
蝉時雨
忘れかけた季節を思いおこす
今日８月１日

参
ほの赤き月光、じわりじわり闇がすいこみ
真黒に閉ざされる
何も存在せぬ漆黒が
束の間世界を支配する
やがて、かすかに漏れいでたるは
赤い光、つきあかり
十五の夜の夢物語
～在らざる今宵の月と亡き母へ

四
波紋、投ぜらる小石
瞬く間広がってく、みずのわ
同様に、やがて消えゆくスイリン
後に残る静かなる水面(minamo)
そは感情のごときよう。