聞きたかったコトバ
しずく
ランチタイムも終了し、やっとこさ帰宅。
まさかまさか
俺と夏木さん以外、方面が逆。
けっきょく今日一番長くいるのはこの不思議少女になりそうだ。
となりを歩く整った顔を見る。
よく見るとうっすら化粧をしているがほぼすっぴんだ。
にしてはきれいだなぁ。
まあ高1だしこんなもんか。
そんな考えをめぐらせていると不意に夏木さんがこっちを向いた。
「じろじろ見られると困るんだけど…」
横に目でもついてるのか?
「あ、ゴメン、ぼーっとしてて。」
見ながら思ってたことも見透かされてそうで、口ごもる。
そんなヒロヤをおもしろそうに見て、またあのいたずらっぽい微笑をうかべた。
「やっぱ桐ケ谷くんておもしろいね。期待どおりの反応してくれる。」
まったくなんて子だ。
俺がこんだけペースを握られるのは夏木さん、あんたぐらいだよ。
「あ、私ここからバスだから。」
けっきょく1度もペースを握れないままか…