ねぇ、泣かないでよ。
噂と出会い
あの日からただ時間だけが流れて、自覚していく。
颯汰くんが傍からいなくなった。
心の中心がポッカリ空いてしまったこと。
「あれ?ツッキーは?」
愛美達が珍しいと聞いてくる。
「知らない」
「いつもくっついてたのにね」
「くっついてない」
「ふーん。陽はさ、いいの?それで」
愛美は心配性なのかもしれない。
「あ、ツッキーだ」
「ぇ」
愛美の声に騙される。颯汰くんの影1つないのに、、。
「やっぱ。気にしてんじゃん」
「そんなんじゃ」
「もうすぐ冬休みだよ?いいの?このまんまで」
11月も終盤。12月に入ろうとしていた。
あれからすれ違っても、微妙に避けられてる感じがして。
声をかける気がなくても、声をかけづらい。
「陽。どんまいだな」
ドンッと肩を叩かれた。
重い。と手の主を見れば愛美の彼氏、翔平くんが私を馬鹿にしたように笑ってる。
「翔平くん、その目、やめて」
「なんだよ。お前のこと同情して慰めようとしてんのによ」
「だから、それをやめてと言ってるの」
「ほんと、どんまいとしか言いようがないわ。なあ!愛美っ」
愛美は少し呆れたようにあしらった。
「ツッキーに彼女がいたとはなぁ」
「「えっ」」
愛美と声を被せてしまった。
今、翔平くん、颯汰くんに彼女がいたとか言わなかった?
「いやぁ、めっちゃ可愛かった。」
「翔平、くん。それはどうゆう」
「なんか、中学からの友達とか言ってたっけなぁ。でも、ありゃ雰囲気がもうカップルだわ」
やっぱり、いるんじゃん。
そりゃあね、学校で騒がれてるのに中学の時モテなかったとかないよ。
これは。信用ならん好きだったか、、。
「何、ガチに落ち込んでんだよ」
翔平くんは優しいのか意地悪なのかわからない。