ねぇ、泣かないでよ。

きっと。【月島】

【月島 颯汰】




「カッコつけんなや。」

「美咲にも、和だけだった」

「お前がおるやんか」



小学生の時に引っ越した父親の転勤先。

美咲が妹になったのは中学の時。それまで仲良くなった和と3人で遊んでた。


和と美咲はその頃から付き合ってた。




でも、美咲のお母さんが亡くなって俺の妹になった。

両親は知っていたらしい。




俺らは何も知らなかった。ただ、それだけ。

友達が家族になっただけ。



でも、和には言えなかった。受験生だった俺ら。美咲は頑張ってる和に言えなかったんだ。





東京に戻る予定だった事も言わなかった。



「俺は、何もしてない。できないんだ。美咲には」

「なんで。何にも言わへんねん」

「俺は、和と美咲の事には何もいわない。あの日の事は誤解としか言えない。俺が言うと美咲を非難するように聞こえる」



和は、全部知ってた。

いや、東京に行こうとしてる事と、俺と美咲が友達じゃないことも。



あの日。美咲のお母さんの命日。
和の誕生日だった。

美咲は和の事を忘れてずっとお母さんの傍にいた。声も出さず泣きながら。



『美咲』


そう、名前を呼ぶしか出来なかった。

なだめることも、和に伝える事も何もしなかった。




『ソウちゃん。かずと別れる』

『え?、、そっか』

『今は、弱い私だから。かずに迷惑かけたかない』



そう、言って。泣きながら美咲は俺に鼻を合わせた。



『ごめん。悪者にして』

『、、、』




和が駆けつけた時、美咲はそうした。

これが、綺麗に言うと誤解。酷く言うと裏切り。になる。
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