ねぇ、泣かないでよ。
「陽、さっきのさ」

「本当は、予定あったんだよね?」

「無いよ。あいつらが勝手に言ってるだけだから」

「ほんと?」



いつもみたいに冷たくない、陽の不安そうな言葉が、すごく愛おしい。



「あったとしても、陽と過ごせるクリスマスに比べたらどうしたことない」

「それは、あの人達に失礼だよ」



少しムッと怒るようにする陽が、小さい頃のようだった。



「ちゃんと、後で謝っとく」

「ん。ちゃんとね」

「だけどさ。もう少し後でもいい?」

「はい?」

「いや、何でもないっす。」



あいつらに電話かけようとしたら、陽が中に入ろうとするから



「陽」

「ん?」



振り返った陽にもう一度。キスをした。



寒い冬。君に恋した事を素晴らしいと思った季節。


変わった俺らだけど、変わらない君に恋をする俺を君はちゃんと見てくれた。






それが、嬉しい。



「ねぇ、陽。顔、真っ赤だよ」

「もう。笑わないで。早くしてね」

「はぁーい」



甘い日に綺麗に笑った君と出会えてよかった。
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