リトルガーデン~愛溢れる場所~
しかし、たとえわたしがそのようなことを眠れない夜中にいくら考えてみても、
わたしのほうは朝目覚めると実際にその人たちや犬が、それ自体の若い生命に満ちた姿をわたしに見せつけてすべての考えを忘れさせてくれた。

でも、あきひろはいつもその思考から目覚めるきっかけもなく、古い家の中で、物静かなおじいさんとひっそり暮らしていた。

きっとあきひろの心の窓から見える景色は、わたしよりもはるかに淋しい、とわたしはよく思った。

いくら手をつないでみても、抱きしめても、その窓の景色だけは変えることができない。

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