リトルガーデン~愛溢れる場所~
あきひろがやって来ることもある。

あきひろは門からやって来ることはない。

竹垣を乗り越えて来る。

あきひろは目が悪いので、いつも目を細めてけげんな顔でわたしを確認する。

わたしは笑う。

あきひろも笑う。

その笑顔には、ふたりが出会ってからの、子供から大人になるすべての歴史が刻み込まれている。

長い間同じことをしていると、そこに妙な深みが生まれることがある。

ふたりの笑顔はまさにそういうものだった。

今さら他の新しくすばらしいことがあるとは思いつかないくらいの深い交流が一瞬、横切る。
< 4 / 55 >

この作品をシェア

pagetop