硝子の花片
「…私も、近藤先生の、お側に…っ」
「総司…!」

総司は苦しそうに呼吸をしながらも愛刀を持って立ち上がった。

大切な人はこの手で守る。

そう決めてここまでやってきた。


…そんなの、少しだけどずっと見てきたから、少しは理解してるつもり。

「…総司。安静にしてないと治るものも治らないよ…近藤さん心配させちゃ、駄目だよ…」

ごめんね。私にはそんなこと言う資格ないのに。

「…分かった。戦わない。でも…近藤さんが危ない時にそばに居てあげる人が居なきゃ。桜夜さんがそうしてくれてるように…ね?お願い」

総司はいつの間にか呼吸も整っていた。
平助くんが亡くなる前の、新選組の沖田総司の、穏やかで真っ直ぐな強い眼差しが、そこにあった。
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