硝子の花片

総司の瞳の奥に、炎が、静かに揺れているがした。

そう、これが彼の本当の願い…。

そして、新選組1番組組長としての、覚悟。



「…はあ、お前にそんなに言われたら俺にゃどうすることも出来ねえよ。」

鬼の副長と恐れられる土方歳三でさえも根負けしたらしい。
深く溜息をついた。
眉尻を下げて総司を見るその目は、父親が子供の成長を喜ばしくも寂しがっているような、そんな目をしていた。


「だが総司。お前は副長助勤だ。近藤さん同様、お前だって、新選組に必要な人間なんだ。わかるか?

もうじき此処は戦場になる。お前や近藤さんは大坂城に匿ってもらおうと思う。

…知っての通り近藤さんは無茶をする人だ。ちゃんと見張ってるんだぞ、総司。」
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