硝子の花片
「瑞奈…?」

私は目の前にいるはずの友人の名を呼んだ。
…応答はない。


強い風が止んだので私は瞼を上げた。



そこは先程まで居た教室の窓側なんかではなかった。



古い桜の大木の下に、私は居た。








「ここは…何処?瑞奈は…?」

見覚えのない場所、見渡す限り誰もいない場所。
そのどれもが不安に感じられた。
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