硝子の花片
傷付いた心は、沖田さんを蝕んでいく。
感情が、消えていく。
沖田さんの涙は、枯れてしまった。
でも、それ以上傷つかないようにすることは出来る。
その為に私がやるべき事は、傍に居ること。
傍に居て、その肩に背負っている荷を少しでもいい。
分けてもらって、一緒に背負う。
悲しみも、苦しみも。
独りで耐えられる人なんて居ない。
きっと誰かに支えてもらわなければ、立てない。
そうやって、生きていくんだ。
「涙が出なくても、沖田さんは悲しんでる。
…私が代わりに泣きますから、沖田さんは無理しないで下さい…沖田さんが無理に笑うの、見たくないから」
私は沖田さんの着物の袖をギュッと握った。
ふと、沖田さんが私の背中から手を離した。その手は私の両頬に添えられる。
その手が冷たくて、生きている感じがしなかった。
でも、私の顔を覗き込む沖田さんの顔は困ったように微笑んでいて、暖かい気持ちになった。
「…貴女が泣くのは、嫌なんです。
だから、泣かないでください。ね?
…私は無理に笑っていたんですね。
自分ではいつも通りだと思ってた。
でも、別に笑わなくたっていいんですよね。悲しい時は悲しい顔をしても、いいんですよね?」
沖田さんはその綺麗な顔をクシャッと歪めた。
苦しそうな顔だった。
でも、表に出さずに溜め込むより、ずっといい。
沖田さんが背負っている悲しみ、苦しみ、全部。
外に出してしまえばいい。
私の頬には一筋の線が出来ていた。
(あれっ、なんで?)
止まらない。視界が滲んで見えない。
滝かと思うくらいに流れる涙を、これでもか、というくらい袖で強く拭った。
止まらない。
そのまま、視界が暗くなった。
暗くなる前に、何か、聞こえた気がした
感情が、消えていく。
沖田さんの涙は、枯れてしまった。
でも、それ以上傷つかないようにすることは出来る。
その為に私がやるべき事は、傍に居ること。
傍に居て、その肩に背負っている荷を少しでもいい。
分けてもらって、一緒に背負う。
悲しみも、苦しみも。
独りで耐えられる人なんて居ない。
きっと誰かに支えてもらわなければ、立てない。
そうやって、生きていくんだ。
「涙が出なくても、沖田さんは悲しんでる。
…私が代わりに泣きますから、沖田さんは無理しないで下さい…沖田さんが無理に笑うの、見たくないから」
私は沖田さんの着物の袖をギュッと握った。
ふと、沖田さんが私の背中から手を離した。その手は私の両頬に添えられる。
その手が冷たくて、生きている感じがしなかった。
でも、私の顔を覗き込む沖田さんの顔は困ったように微笑んでいて、暖かい気持ちになった。
「…貴女が泣くのは、嫌なんです。
だから、泣かないでください。ね?
…私は無理に笑っていたんですね。
自分ではいつも通りだと思ってた。
でも、別に笑わなくたっていいんですよね。悲しい時は悲しい顔をしても、いいんですよね?」
沖田さんはその綺麗な顔をクシャッと歪めた。
苦しそうな顔だった。
でも、表に出さずに溜め込むより、ずっといい。
沖田さんが背負っている悲しみ、苦しみ、全部。
外に出してしまえばいい。
私の頬には一筋の線が出来ていた。
(あれっ、なんで?)
止まらない。視界が滲んで見えない。
滝かと思うくらいに流れる涙を、これでもか、というくらい袖で強く拭った。
止まらない。
そのまま、視界が暗くなった。
暗くなる前に、何か、聞こえた気がした