硝子の花片
第六章 鉛玉と海風
戦の始まり。何かの終わり。
心の臓まで凍るような寒さが京の町を襲う。
しかしもう寒さなんて気にしていられない。
もう年が明ける。
普通なら町衆は新年を迎える準備であちこち駆け回っているだろうが、今回ばかりは違った。
京の町が、戦場になるというのだ。
幕府軍と倒幕派軍との戦いである。
「…あーあ」
今日も明日も、こうやって布団に潜り込むのだろう。
悔しいような、そんな、複雑な気持ちを隠すように。
ちらちらと降る白い雪が、彼の視線の先にある庭を白く染め上げてゆく。
その微妙な白が、土を白く染め上げてゆくように、労咳という名の紅い病は、彼を紅く染め上げてゆくのだった。
しかしもう寒さなんて気にしていられない。
もう年が明ける。
普通なら町衆は新年を迎える準備であちこち駆け回っているだろうが、今回ばかりは違った。
京の町が、戦場になるというのだ。
幕府軍と倒幕派軍との戦いである。
「…あーあ」
今日も明日も、こうやって布団に潜り込むのだろう。
悔しいような、そんな、複雑な気持ちを隠すように。
ちらちらと降る白い雪が、彼の視線の先にある庭を白く染め上げてゆく。
その微妙な白が、土を白く染め上げてゆくように、労咳という名の紅い病は、彼を紅く染め上げてゆくのだった。