君が眠る時には

葵のことを話す美月ちゃんの顔は、まさに恋する乙女だった。


「雪ちゃんは昔のあおを知らないでしょ?無邪気な笑顔でみんなを励ましてたのも、、治療がやだくて泣きじゃくってたのも、知らないでしょ?」


知らないけど…。


「雪ちゃんはあおにふさわしくない」


確かにそう思っちゃう時もあるけど…。


「あおを好きになる資格なんて、あなたにはない」


でも…


「たまたま同じ人を好きになっただけなのに、どうしてそこまで言われなくちゃいけないの?」


「私はあおに好かれるようにたくさん努力した」


それは見てわかるよ。


肌もつやつやで、点滴してるはずなのに腕も綺麗で…。


でも、だからなに?


綺麗な人が好きな人を手に入れられるの?


一理あるかもしれないけどそれだけじゃないはず。


「雪ちゃんはひとつでも努力してきた?ちゃんとあおの気持ちをわかってる?」
< 106 / 187 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop