君が眠る時には

そんなのに怯んでいる暇はない。


とにかく遠くへ逃げなきゃ。


後ろを振り向く余裕もない程に全力で走った。


「おい待てごらぁ!!!」


誰か…助けて!


警察…はダメだ。


私の年齢でこんなことしてるなんて知られたら、確実に親に連絡がいってしまう。


それだけは避けなければ。


走りながら携帯の電話帳を開いたけど、そこには誰も登録されていない。


そりゃそうだ。


私には困った時に頼れる人なんて一人もいない。


お店までは遠いし…。


……あ!


ふと思い出したあの人こと。


あの人なら!


財布から名刺を取り出して電話番号を登録した。


寝てるかもしれない。


仕事中かもしれない。


あんな態度をとっておいて、困った時だけ頼るなんて都合のいい話。


でも、どうか、どうか、でてくれますように。


……ぷるるるる、ぷるるるる、ぷる…
「はい」


出てくれた!
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