君が眠る時には
「1人で大丈夫?」
遥さんは遠慮がちに聞いてきた。
「1人じゃない時なんて、ないんで」
「そっか…」
遥さんはそれ以上何も言わなかった。
しばらく真っ暗な道を2人で並んで歩いた。
続いていた沈黙を破ったのは、またしても遥さん。
「そういえば」
また何か聞かれるのかと思いきや
「まだ雪ちゃんからのありがとう聞いてないなーって」
おちゃめに笑って私の顔を覗き込んだ。
そんなことか。
いや、そんなこととか言ったらダメだ。
助けてもらったんだもんね。
「えっと…」
私は遥さんから目を逸らした。
普段言い慣れてないから、なんか、恥ずかしい。
「うそうそ、言いたくなったらでいいよ。強要するものじゃないからね」
「ごめん」
「ごめんはすぐ言えるんだ」
遥さんはおかしそうに笑った。
いつの間にか私の家の近くまで来ていた。