君が眠る時には

そう言うと、ゆっくり頭が上がった。


3人で近くのソファに腰掛けた。


「…………まず、葵がここにいない理由を話そうか……」


「はい…」


「前回の検査で、移植が成功する可能性は極めて低いと判断された。


でも、葵の心臓はもう限界だった。


それを知った時、あいつ言ったんだ。


"少しでも、生きられる可能性がある方にかける"って。


今までのあいつならそんなこと絶対に言わなかった。


もういいやって諦めて、ただ死を待ってた。


でも、雪ちゃんに会って変わったんだ」


私も、葵に会って世界が変わったよ。


「僕は、雪ちゃんがその事を知っていると思っていた。

葵からそう聞かされていたから。

でも、雪ちゃんに確かめればよかったね……。
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