君が眠る時には
葵が手術室に入る前に言ったよ。

"あいつには言ってない"って。

だから急いで電話したけど……間に合わなかった」


葵ってば馬鹿だね。


どーせ私を悲しませたくないとか思ってたんでしょ?


だったら本当のことを言ってよ。


真実は葵の口から聞きたかった。


だって……こんな所で聞かされたって……ぜんぜん理解できないよ。


涙が滝のように流れて落ちた。


「今回の移植は、本人の強い意志で行われたもので……」


気づけば美月ちゃんも俯いて泣いていた。


「助かる可能性は無いに等しい……」


遥さんも泣いている。


私だって泣いてる。


……やだよ。


葵がいなくなるなんてやだよ。
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