君が眠る時には

「どっかの誰かさんが"遊びに来てな"なんてゆーからね」


こんなに素を出して人と会話できたのはいつぶりだろう。


いつもおじさん達に愛想振りまいているだけだから、なんか新鮮。


「暇だったらって付けたし」


「たしかに…」


その言葉に何も言い返せない私を見て、葵は勝ち誇ったような顔をした。


むかつく…。


こんなこともあろうかと。


ここに来る前に手土産を買ってきておいた。


昨日遥さんに、葵の好きなものを聞いたんだ。


「そんなこと言う人にはあげないから」


プリンを取り出して、これみよがしに言ってみる。


「やだ」


袋から出した瞬間に目が輝き始めた。


葵の大好物はプリンらしい。


「生意気言ってすいませんでした。いただきたいです」


すぐに謝ってくるところもおもしろい。
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