君が眠る時には

衝撃的だった。


ショックだった。


私が傷ついている?


安心してるんじゃなくて?


じゃあ私が今までやってきたことは、なんだったの…。


認めたくなくて、葵の言葉を受け入れたくなくて。


だから、反抗するしかないんだ。


「葵に私の何がわかるのよ。なんにも知らないくせに……」


「俺は雪のこと大して知らないよ。
でも、遥のところに来る人を見てきた。
雪と同じようなことをして、自分を傷つけて、どうしようもなくなっちゃった人の話をたくさん聞いてきた」


「私のその人たちを一緒にしないで」


「全く一緒だとは思わないけど、これだけは言わせてほしい。
お願いだから、これ以上傷付かないで。
もう自分を大切にしたっていいんじゃないか?」


葵の言葉は、私の心に突き刺さる。


やめて、もうやめて。


傷ついてなんかいない。


これが私なりの幸せなんだよ。


そう言い聞かせて続けてきた私の過去を、意味のないものにしないで。


今思えば、この言葉は言うべきではなかった。


葵も傷ついているはずなのに、私は自分のことしか考えてなかった。


「葵なんか一生そこにいればいいんだ」


私は乱暴に扉をしめて病室から出ていった。


「ごめん」


後ろから微かに聞こえた葵の声。


その言葉を聞こえないフリして無視をした。
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