君が眠る時には

私にとってはこれが当たり前だから。


家に着いてもただいまは言わない。


どうせ返事は帰ってこないから。


「はぁ、」


ため息ひとつ。


今日もまた、誰もいない部屋で眠りにつく。


私には、困った時に手を差し伸べてくれる人も、泣きたい時に優しく背中をさすってくれる人もいない。


みんな、上辺だけの関係だから。


でも……これでいい。


友達なんていなくても、心が死んでいても、母のように男にお金をもらう生活でも、これでいい。


私なんか、これでいいんだ。
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