君が眠る時には
「うそ……葵は、大丈夫なんですか?」
「今のところね。そんな大事にはいたらなかった」
よかった……。
「実は葵は倒れたのは面会時間だったんだ。
でもそのとき雪ちゃんはいなかった。
葵に雪ちゃんのことを聞いても黙ってばかり。
心当たりがないなんて言わせないよ」
昨日の出来事が脳裏に浮かんだ。
あれが、あのことが、葵のストレスになっていたんだ…。
私、葵の寿命を縮めた?
そう思うとなんだか急に怖くなって、心臓の鼓動が早まった。
「僕は…葵に生きていてほしい。
たった1人の、大切な弟なんだ…」
遥さんの目には光るものがあった。
私だって、葵が死ぬことを望んでいるわけじゃない。
でも、現実はうまくは行かない。
「援交をやめて、どうしろと?」
遥さんに問いかけた。
「お金が無いなら、僕が援助をする」
遥さんの決断は、私にとっては辛かった。
援交をやめられて、何もせずにお金が貰える。
一見いいことのように思えるけど、悲しかった。