君が眠る時には
私は一人の人として必要とされてないんだって、そう言われているみたいだったから。
遥さんが私を養おうとしているのは、葵を死なせたくないからであって、私を救いたいからじゃない。
涙が出そうになったけど我慢した。
「分かりました。お願いします」
そう言うしかなかった。
優しさでその提案をしてくれたのだと、分かっているから。
悲しい言葉に捉えてしまうのは私の心が歪んでるから。
文句を言う筋合いなんてない。
拒否する権利なんてない。
私は結局、大人にすがらないと生きていけないんだから。
「明日は葵に会ってあげてほしいな」
いつも通りの遥さんの笑顔。
私が頷くのを確認すると、遥さんは微笑んで帰っていった。