君が眠る時には

「じゃあ、好き?」


それが、分からなかった。


「遥さんは、好きってなんだと思いますか?」


「んー…。なんだろうね…」


遥さんにも分からないみたい。


意外だった。


だって、遥さんの左手の小指には、シルバーのリングがはまっている。


いつも大事そうに持っているから、彼女さんからのプレゼントかと思っていた。


だとしたら、好きって感情は分かるはずでしょ?


でも遥さんは本気で考えているみたいだった。


「恋、したことないんですか?」


「あるよ」


とたんに目尻を下げて幸せそうな笑顔になった。


やっぱり彼女さんいるんだ。
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