君が眠る時には
葵に心配させてしまうほど私の顔は険しかったらしい。
「今日はちょっと体調悪いかも。早めに帰るね、ばいばい」
そう言って葵の方を見向きもせずに病室を出た。
こんなことになるなら恋なんてしなきゃよかった。
恋にライバルはつきものだけど、そのライバルが美月ちゃんだなんて……。
私に勝ち目ないじゃん…。
私はその日の夜に遥さんに電話をした。
『雪ちゃんが電話してくるなんて珍しいね。葵となんかあった?』
「葵となんかあったってゆーか…」
誰かと何かがあった訳じゃなくて、私が勝手に1人でもやもやしてるだけ。
「美月ちゃんって知ってますか?」
『あー、あの可愛い子ね。あれ?なんで雪ちゃんが美月ちゃんのことを知ってるの?』
「なんか、あんまり病状が良くないみたいで再入院らしいです。それで葵の病室に来てて…」
『そーゆーことか。葵と美月ちゃんは昔から仲良かったからなー』
私が知らない昔のふたりを懐かしむように言う遥さん。