借金取りに捕らわれて〈番外編〉~日常~
企んでたのはこれかー‼



「あの…今、お茶の気分で…」


危険を感じ、お茶を淹れようとそろそろとイスから立ち上がり掛けたが、秋庭さんの伸ばした手がすっとグラスを押す。


「好きだよな?芋焼酎?」


あの笑顔で制され、浮いた腰をそれ以上上げることは出来ずストンとイスに落とした。


「さあ、遠慮することはない。それとも…」


秋庭さんの目が鋭くキラリと光る。


「武の前で飲めて、俺の前で飲めない理由が?」


笑っているのに、どこか怒っているような笑顔に背筋に冷や汗が流れた。


つまり…


『武に抱きつけて、俺に抱きつけない理由はないよな?』


って意味だよね…



うぅぅ…あの時のこと怒ってたんだ…

そうだよね…

あの秋庭さんが、お酒の力とはいえ他の男性に抱きついておいて、スルーするはずないもの。

うっ…

これは、飲まないともっと酷いことになりそうな気がする…

飲んでも地獄、飲まずも地獄みたいな…



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