借金取りに捕らわれて〈番外編〉~日常~
手に巻かれたハンカチに目を落とす。


このハンカチを巻いてくれたあの女の顔が忘れられない…

残念だがもう会うことはないだろう…




名残惜しみながら視線を上げ仕事モードに切り返え、一度家に戻ると蓮さんにメールを送った。


そして、了承の返事と共に田中さんと担当を変われとの御達示があった。

どうも田中さんの徴収が悪いらしい。

にしても、少しは休ませてくれても良くないか…



溜め息を吐きつつ、画面をスクロールさせていく。




で、名前は…



「カシワギ…ヒロト?」


男か。



一応挨拶しとくか。




田中さんから柏木浩都の状況を聞き、その夜行ってみると…





何を勘違いしたのか、そいつは俺が半殺しに来たと思ったらしい。



どういう流れでたどり着いた考えだよ。
しまいには面白過ぎて吹き出す始末だ。


しかもこいつ、ビビりすぎて顔を上げようとしない。



痺れを切らした俺はそいつの胸倉を掴み無理矢理顔を上げさせ、顔を付き合わせると…




本日二度目の息を飲んだ…



そいつは、紛れもなく朝俺の手にハンカチを巻いてくれたあの女だった。



運命なんてのは信じないが…

この時ばかりはそういうのもあるんじゃないかと思う自分がいた。




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