はちみつドロップス
もどかしい頭の中を掻き回すかのように、皇楽が無造作に整えた髪を荒っぽく掻いた。
「……寄りによってなんでアイツなんか……」
「なんで? 高宮可愛いじゃん。単純だし皇楽に一途だし……。皇楽のことばっかり見てたよ、あの娘」
そう言われて思い浮かぶのは、やっぱり店の裏のゴミ捨て場で泣いていた天の泣き顔。
原因はわかっていた。
自分の言葉が天を傷付けてしまったということ。
それでも天はずっと皇楽を見つめ続けていた。
この間のバイトでの一件も絵那にフォローを入れ、保育園まで荷物を届けてくれたのは天だった。
「今度はお前の番だな」
「……なにが?」
「高宮に見捨てられちゃったんだし。次はおまえが追いかける番だろ?」
こう言って何の濁りも無く爽やかに笑う慶斗は、その爽やかさとは裏腹に何故だか不敵に思える。
心強い(?)親友の一言を、皇楽は何度も何度も頭の中で繰り返すのだった。