はちみつドロップス

いつもと同じ筈がどこか違う。


気のせいだろうと軽く考えていたのも束の間。



「……不機嫌だな」


「…………」



あれほど毎日毎日授業中を睡眠学習に費やしていた天が寝ない。



つまるところ。



天が寝る

皇楽の机まではみ出す

皇楽がキレる

言い合いになる



今まで無意識に繰り返されてきたやりとりが、今日は昼休みまでの間に一回も無かったのだ。



「高宮に全然相手されてないもんなぁ~今日」


「していらねぇし」



あくまで認める気は無い。


そう言わんばかりにきっぱりと言い切る皇楽に慶斗は呆れて大きなため息をつく。



「別に良いじゃん……高宮のこと好きでも」


「好きじゃねぇし」



皇楽が好きなことをなかなか認め無かった天と同じように皇楽もまた、自分の気持ちをあっさり認めようとはしなかった。



「なんで? 昨日のでわかったんだろ? 自分の気持ち」


「一回突き放したのに、やっぱり……なんて出来るワケないって言ってるだろ」



不器用な上に顔に似合わず純情。


言えば怒られのは目に見えているので敢えて、口には出さず慶斗は盛大に溜め息を吐いた。
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