はちみつドロップス
「どういうことッスか? アイツ身長あるけど女ッスよ?」



更衣室に入るなり、慶斗は渋い顔で目の前の店長を問い詰めていく。




「……わかってるヨ。でもね、天ちゃんは今のバタフライに無い物を持っている」


「……何ッスか」



さっきまでのテンションが嘘のように、店長は神妙な顔つきと口調でポツリポツリと呟き始める。



いつもの落ち着きの無さと打って変わって、静かで年相応に見える店長を不気味に思いながら皇楽は小さく首を傾げる。



皇楽と慶斗を見つめた後、店長はゆっくり口を開き、



「ウチの高校生ウェイターと言えば、クール系の皇楽と爽やか系の慶斗。そうとくれば……後は可愛い系、だろ?」



こう言ってウインクを飛ばしながら親指を立てる店長を、皇楽はものすごい冷ややかな顔で一瞥する。



「なにその顔っ! キミたち二人に天ちゃんが加われば無敵の高校生トリオでしょっ? 今きてるんだよぉ~? 美少女系美少年」


「どこにきてんですか、そんなもんっ」


「美少女系って……そもそも高宮は女だし」



呆れた顔で店長にツッコむ慶斗は、バカにしたように鼻で笑うのみの皇楽に比べればまだ優しい……。



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