はちみつドロップス

二人分の背中に隠されてそそくさとカウンターの中に入ろうとした天を、



「二年ッスよ。高宮先輩っ?」


「っ!?」



すかさず涼希が笑顔で呼び止めた。



恐る恐る振り返る天に涼希は皇楽と慶斗の間に割って入り近付いていく。



「あ、あれ? なんで知ってるのかなぁ~」



引きつった笑いで誤魔化してみるものの、やっぱり動揺が隠せる程天は器用ではない。




「知ってるに決まってますよ。だって俺」



更に近付いた天の前に立ち、



「天さん狙いですからっ」




天の手を取り、綺麗な二重を細めてにっこりと笑ってみせた。



「えぇっ!?」



突然の正面切っての狙ってます宣言に、真っ赤になった天の頭は沸騰寸前。



「……高宮落ち着け。とりあえず水飲んどいで」



茹だった真っ赤な顔で慶斗に言われるままにフラフラとカウンターの中へとに向かっていった。



その背後で、



「つーことなんで貰っちゃって良いッスか?」



如何にも悪気無さそうに笑う涼希が皇楽相手に宣戦布告を始めていた。



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