はちみつドロップス

放課後。



昼休みのいざこざの後から教室では一切口を聞かなかった二人が、


「あっ……」


「…………」



人気のまばらになった靴箱でかち合う。



お互いガンガンと意識してるくせに無言で靴を履き替える二人。



天が履いていた上靴を靴箱に入れようとした時、



「満更でも無いんだろ、おまえ」



ちょうど靴を取り出した皇楽が天の方を一切向かずに問い掛ける。



「どういう意味っ?」



何でも無い顔で靴を持っていた手はそのまま床に下ろされ、天は思わずムッとした表情で皇楽に向き直る。



「涼希涼希って、連呼してんなっ。胸くそ悪い」



そんな天にもかまわず、皇楽は靴を履き替えながら淡々と答えていく。



「何よそれっ。別に高原のこと呼んでるワケじゃないんだからいいでしょっ」


「まだそっちのがマシだ」



売り言葉に買い言葉。
とっさに切り返した皇楽の視線がここで漸く天と重なった。



「…………」


「…………」



思わず口走ってしまったとは言え。
引くに引けない気まずい皇楽と何やら考え込んで天は揃って微妙な顔をしている。




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