はちみつドロップス
そんな感じでしばらく見つめ合った後、
「…………皇楽っ」
小さく発した天の声に驚いたように皇楽が目を見開いた。
それを窺うように天が皇楽の顔を見つめている。
「用事無い癖に呼ぶなっ。指名料取るぞっ」
皮肉で照れを隠す。
ぷいっと身を翻した皇楽の足早に去っていく背中を嬉しそうに見つめながら笑う天がそこに居た。
「なんだあれ……中学生かよ。ヌルいなぁ」
どこからともなく二人のやりとりを見ていた人影が、こう言って小さく鼻で笑う。
「俺が負けてるワケ無いよな……あの人に」
呟いたと同時にガラスに映る表情に、いつものように爽やかに笑う涼希の面影は無かった。