はちみつドロップス

だんまりを決め込んだかのように口を閉ざしたままで居る皇楽に一瞬苛立ちを顔に見せたかと思えば、



「つーかさ、クールで通ってる高原先輩が子守りって……。先輩に憧れる女子が見たらどう思うんだろね」



キャラクターがプリントされた子ども用のお布団片手に四歳児の手を引く皇楽を上から下までじっくり見つめ、



「もしかして……ギャップ受けでも狙ってます?」



完全な茶化しにかかった涼希が鼻で笑う。



何も言わず、ただこの場から立ち去るタイミングを窺っている皇楽を朗楽が不安げに見上げていた。



自分に憧れた女子たちがどう思うかなんてわからないし、知る気も無い。



ただ、少なくとも自分が好意を寄せた女の子に打ち明けることは出来なかったのは紛れも無い事実。



知られればどんな反応が返ってくるか。



気を遣って気にしない素振りを見せられようと、
完全に引かれようと、
そんなものは知らずに済むなら知りたくはない。



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