はちみつドロップス
そんな天の潤んだ瞳と震える唇をずっと変わらない顔つきで皇楽が見つめていた。
振り払った手を伸ばしてもう一度天の指先に軽く触れる。
握り締めた天の指がそれを拒むように離れそうになった時、
「……えっ」
素早く天の指に自分の指を絡めた皇楽がそのまま力強くその手を引き寄せた。
不意に重心を奪われ、なすがままに体は皇楽の方へと雪崩れ込んだ。
寄せられた全身に皇楽の匂いが染み込む。
いつだって近くて遠かった皇楽が限り無く近くにある。
「言う通り……花井が好きだったしおまえなんて恋愛対象じゃなかった」
「っ……」
耳元から響き渡る声に胸がギュッと締め付けられた。
本人の口から聞かされると余計に傷付く。
驚いて引っ込んでいた涙もこれでまたじわっとこみ上げてくる。
「デカいしガサツだし……女として目に映らなかった。……けど」
「…………」
「俺の素性見ても引かなかったし……。むしろそれでも好きで……居てくれたワケだし」
ポツポツと呟かれていく言葉に皇楽の胸元に当てられていた頬が段々熱くなっていく。