はちみつドロップス

踵を返して進もうとする天をとっさに腕を掴み、



「ちゃんと最後まで聞けっ! バカ女っ」


「あーっ! また! バカって言うなぁ!!」



何故か始まる言い争い……。


さっきまでの甘い雰囲気なんてあっと言う間に木っ端微塵で粉々にぶち壊されている。



「どうせわたしなんてガサツでデカいもんっ!」



完全に拗ねてしまっている天にもどかしそうに皇楽は頭を掻く。



「あーっ……なんでわかんねぇんだよっ! 好きに決まってんだろっ! 察しろっ!」



如何にも苛立たしげに、勢いで吐き出された“好き”に天は一瞬驚いて……それからすぐに渋い表情で皇楽を見つめた。



「……ホントに?」


「当たり前だろっ」


「眉間……皺」



甘さの欠片もない告白にいつもの仏頂面。

自分の眉間をくいくいっと人差し指で押しながら指摘する天に気まずげに皇楽の視線が落ちる。



大事な場面で完全に失敗した……。


内心で落ち込む案外と弱気な仏頂面をのぞき込む天はにっとはにかんでみせる。


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