はちみつドロップス
水族館にて
勢い任せの告白から早三日。
「あらっ? あらあらあら~?」
「……な、何? 月ちゃん」
休日の朝から張り切ってお洒落に勤しむ妹を、寝癖ボサボサの姉が冷やかしにやって来る。
「えらく可愛いじゃなぁい。デート?」
「えっ!? ……うん」
顔を真っ赤にさせながら頷いてみせる初々しいヤツ。
思わず月はポンポンと自分より長身の天の頭を撫でた。
「良いなぁ。彼氏……格好いい?」
「えっ……うん。そこが好きになったワケじゃないけど」
大真面目に答える天がおかしくて、ついつい何度も頭を撫でしまう。
そんな姉の生温かい微笑みにひたすら天は俯くばかり。
「ねぇ。彼氏ってもしかして…………朗楽くんのお兄ちゃん?」
「えっ! なんでわかったの!?」
冗談半分でカマをかけたつもりが真っ赤に照れた天が頬を掻く。
「だって他に知らないもん。……それにしてもなかなか上玉じゃないっ?」
「愛想は悪いけどねっ」
カバンに荷物を詰めながら答える顔は幸せそうに目尻を緩めている。